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園長コラム積光成輝
2023.3.31

こころ大福理論⑦第3章-2:心的防衛機制(心理防衛機能)

本節では第1章基本モデルの中で触れた心的防衛機制(心理防衛機能/defence mechanism)について記述します。心的防衛規制は、強いストレスなどの危機を感じて自我が対応できなくなる場合に無意識に働く心の安全装置で、自我と超自我との間に生ずる葛藤を中和する働きを担います。
 その代表格は「抑圧」で、多くの防衛機制が「抑圧」をベースに発動しますが、化粧に喩えるなら、抑圧が下地のファンデーションで、他の防衛規制が上塗りのマスカラやアイシャドー、チークやルージュ、またはタトゥーやピアス、カラコンやウィッグに喩えられるかもしれません。わたしたちはそうやって無意識に、または意識的に装い、時に自分さえ欺むきます。


 以下に、主だった防衛機制を記述し、それらを普段私達がどんな風に用いて自我を納得させようとしたり守ろうとしているのか見ていきます。

[1.抑圧-repression]
 強い不安や不快な出来事や欲求を無意識の層に抑え込み、そうした出来事や欲求を無かったことにして意識上から不安を取り除きます。しかし、無意識に追いやった不安や不快な出来事、欲求が消えて無くなる訳ではないため、何かを引き金に意識上に昇らせて感情爆発を起こしたり、精神症状や行動的症状、心身症や内科疾患を慢性化させる場合があります。
 似たものに抑制がありますが、抑制は意識上にありながら考えることを避けるなど、意識的にそれらから距離を置こうとする点で抑圧と異なります。

[2.否認-denial]
 家族や近しい者の死など現実に起こった悲痛な出来事を認めようとしなかったり、それらによる心の受傷を無かった事にしたいという欲求、また、差し迫る危機や危険を認識していながらに認めないことを言います。
 例)「息子(娘、夫、妻)は死んでいない。どこかで生きている…」
   「私は依存症なんかじゃない。そんな風に言う周囲がおかしい…」
   「地震(他の天災や人災)など、ここに来るはずがない…」
   「誤診だ、そんな病に罹るはずがない。明日になればきっと治っている…」
   「ずっとゴールドドライバーだから大丈夫。高齢でも運転を続けられる…」
 絶望の淵に落ち込まないようにする心の働きですが、否認防衛から危機管理を怠ると命取りになる事もあります。

[3.同一化(同一視)-identification]
 自分には叶えられそうにない現実を前に、憧れのアイドルやタレント等の衣装や化粧や所作および言動、プロスポーツ選手のプレースタイルや所作および言動、敬愛する人物の所作および言動を真似て自己評価を上げようとすることを言います。
 これに対し取り入れIntrojective identificationは、幼く未熟な発達段階の防衛機制で、断片的なものに限られます。
 同一化(同一視)は無意識が自己価値を低く捉えている場合に、対象を自分に映し込むことで価値を産み出そうとする心の働きですが、「学ぶ」の語源が「真似ぶ」に由来しているように、対象をモデルとしながら自己を確立していくプロセスにポジティブに働く側面も有しています。業(わざ)の一子相伝や師匠に師事するなどは、同一化(同一視)を巧みに応用した伝承法であると言えます。

[4.投射(投影)-projection]
 自分の中の受け容れ難い感情や欲求を、他人のものであるかのように認識することを言います。
 例えば、.誰かに嫌悪を抱く場合に、その人が周囲から好感を持たれていたりすると『その人を嫌ってはならない』超自我が働き、『私は嫌っている訳じゃないんだけど、相手が私を嫌っているから仕方ない』と思い込み、周囲と同じに振る舞わない理由にしたり、逆に周囲から良く思われていない人に好意を抱いて『その人を好きになってはならない』超自我が働くときに、『私は好きじゃないんだけど、相手が私を慕ってくるから仕方ない』と思い込み、周囲と同じに振る舞わない理由にする心の働きです。行き過ぎる場合には、嫌悪を抱く相手に気付かれまいと、やたらと懇切・丁寧に接したり、好意を抱く相手に気付かれまいと、あからさまにつっけんどんに振る舞うなど反対の行動を示すことがあります。
 他にも自分の短所や欠点(自分自身の嫌いな部分)を相手に映し見て、『○○さんの、××なところが嫌い』と思い込むのも投射(投影)による働きです。
 投射(投影)は自身の中の欲求不満や葛藤に対処しようとする防衛機制ですが、境界性人格障害や統合失調症患者の妄想の一種として出現することがままあります。

[5.合理化-rationalization]
 失敗や失策、目的や目標を達成できなかった場合に、理由をつけて正当化しようとしたり、屁理屈で言い訳し自分を納得させることを言います。
 例)○イソップ童話「酸っぱいブドウの実」@狐が、どんなに頑張っても穫れなかったブドウの実を、『きっと酸っぱいに違いないから食べなくて良かった』と、自分に言い聞かせる。
   ○この前初めて食べて感動して今日は友だちを連れてこの店にきたのに、それほど美味しいと感じないのは、体調がいまいちなんだろう…。
   ○転職先の給与が思っていたより少なかったけど、新しい分野の学びに研修料を払っていると思ってトントンと考えよう。
   ○新型コロナ陽性で一週間自宅療養になったけれど、(主任の自分が居なくても)現場を回す部下職員には良い研修機会となったに違いない。
 合理化は独り合点の屁理屈のようでいて、気持ちを上げ苦難を乗り越える力となるポジティブな側面も有しています。例えば、贔屓(ひいき)チームの常勝を信じ続けるファンが、負け試合の度にやっている「今日の負けは、優勝への布石!」といった負け惜しみも合理化と言えるでしょうし、その際、過去のデータに照らして『優勝チームでも○○回は負けるんだから、まだまだ大丈夫…』と知識や科学的根拠に基づいて合理化することを知性化intellectualizationと言います。

[6.置き換え(置換)-displacement]
 自分の欲求することが困難な事柄であったり社会的に認められない場合に、手近かなものを代替に不満を解消したり、心を満たそうとすることを言います。
 例)○上司にこっぴどく叱られてイライラや不満を引きずり、上司を殴れない代わりに部下職員や家族など自分より弱い相手に八つ当たりする。
   ○父から虐待を受け、父に仕返しできない代わりに年下の子や小動物を虐める。
 似たものに代償substitute behaviorがあります。
 例)○親から得られない承認欲求を満たすために、学童保育で良い子を演じ、先生の承認を得る。(家族機能不全家庭や虐待家庭環境下に置かれている子どもの多くに見られます)
   ○本当は海外旅行に行きたいけど、余裕がないから国内旅行で我慢しよう…」

[7.反動形成-reaction formation]
 気持ちとは裏腹の行動をとることです。相手や周囲に受け容れてもらい難い感情や欲求が強過ぎる場合に、正反対の行動を採ることにより不安から逃れようとすることを言います。
 好きになってはいけない相手を好きになり、相手に受け容れてもらえる筈がないと感じている場合に、虐(いじ)めるように関わったり嫌われるように働き掛けたりします。そうすることによって、望んではいない形ではあっても相手と関係を繋ぎたい無意識の欲求を満たそうとします。逆に、嫌いになってはいけない相手を嫌っていながら、それを相手が受け容れる筈がないと感じている場合には、言いなりになったりベタベタに甘えるなど、虐待環境に育ってきたサバイバーは強者に対して無意識にそうした対人パターンを採る傾向にあります。
 投射(投影)では、隠したい感情を意識し、あえて意識的に反対に接しますが、反動形成では無意識に反対に接します。

[8.解離(乖離、隔離)-isoration]
 心に浮かぶ事柄と感情とを切り離して別々にし、嫌悪や恐怖を感じないようにします。
 <健康的な解離>
 ・高速道路を運転中、話をしながら無意識に車線を変更する
 ・空想にふけりながらボーッとする(白昼夢)
 ・何かに集中し過ぎて周りで起こっている出来事に気付かない
 ・ボーッとしていて、時間の経過に気付かない
 ・考え事をしていて、話しかけられても気付かない
 <病的な解離>
 ・殴られているのに痛みを感じない(痛覚の解離)
 ・自分の身に起こっていることが他人事のようにしか感じられない(離人感を伴う解離)
 ・行動した形跡はあるのに記憶がない(解離性健忘)
 ・自分に起きていることが夢のようで現実だと思えない(現実感の喪失)
 ・気付くと知らない場所にいるが、ここまでどうやって来たかの記憶がない(解離性遁走)
※多重人格症の正式な診断名は解離性人格障害です。幼少期に身体的虐待、性的虐待等を被った際、解離することによって自我を崩壊から守ったと考えられますが、未治療の場合にはPTSD症状が慢性化するなど、生涯に渡ってその影響に苦しみます。

[9.分裂-splitting]
 幼く未熟な防衛機制の一つで、あらゆる対象を善か悪かで二元論的に捉えます。つまり、善寄りの悪とか悪寄りの善、どちらでもない中間が存在せず、一人の人の中に良い面と悪い面の両面があることを受け留められません。悪が善を汚染する恐怖から善と悪とを分裂させ、対象をどちらか一方で認識しようとします。これにより、無意識に自分や特定の対象の欠点や悪い面を見ないようにしますが、善対象の相手が自分の要求に背いた場合に不安や寂しさを抱き、一転して悪対象として認識します。
 被虐待(愛着障害)児の多くがこの防衛を多用し、自身が悪に汚染されること(受傷)から守ろうとサバイブしますが、周囲を次々と悪(敵)にしてしまうため関係が長続きせず、次から次へ新しい関係を渡り歩くことになります。愛着障害が未治療のまま分裂防衛の多用が癖になると、対象との間にDV関係(加害側、被害側)を構築し易くなる傾向を強めます。
[関連:第2章:不適切な養育(マルトリートメント)モデル2/●愛着障害=対象恒常性障礙?]

[10.打ち消し(取り消し)-undoing]
 ある感情が行動に表われそうになったときに、その感情を打ち消そうとして気持ちとは反対の行動を採ります。また、ある行動によって不安や罪悪感が生じた場合に、行動をやり直すことで、自身の中のプラス・マイナスを相殺し埋め合わせようとします。しかしそれは、相手との関係性の中で埋め合わせるのとは異なり、身勝手な思い込みでしかありません。無意識にそうする場合と、意識的にそうする場合とがあります。
 例)○気付かれていない浮気を自身の気持ちの中で埋め合わせようと、相手(妻、夫、恋人)に優しく接する。
   ○被災時に現地にいなかった罪悪感を打ち消すために、復興ボランティアに打ち込む。

[11.昇華-sublimation]
 憧れの人をモデルに、その人と同じレベルに到達することが難しい場合に、自分に出来ることを努力し近付こうとしたり追い抜こうと頑張ります。
 その際、あえて困難なことに挑戦したり、社会的に認められることで欲求を満たそうとする点において置き換えdisplacementとは異なります。内的な欲求(性欲他の精神エネルギー)を芸術、文化活動、スポーツなどに移し替える、健康的で成熟した防衛機制であると言えます。
 例)○父と同じ教育者を目指したが、思い直して異なる対人援助分野で父を超えようと臨床心理士の資格取得を志す。

 以上、主だった11の心的防衛機制について記述しました。この他にも「退行」「転移」「逃避」「行動化」「躁的防衛」などがありますが、「退行」については[第2章-3不適切な養育(マルトリートメント)モデル3●心理的退行]の中で詳しく述べていますので、そちらを参照ください。また、「転移」については次章で詳しく述べます。

 さて、心的防衛機制を“超自我と自我との間を取り持つ中和剤”と言えば聞こえは良いですが、別の言い方をすれば“超自我と自我との間に立って、双方に言い訳する少々都合の良い仲介者”と云うこともできます。
 私達の心は、自らに渦巻く原始欲求や自我欲求を、超自我の禁止「(わたしは)○○であってはならない」、倫理「(わたしは)○○であらねばならない」、良心・良識「(わたしは)○○であるべき」、道徳「(わたしは)○○であることが望ましい」、自我理想「(わたしは)○○でありたい」に照らして整合性を欠く場合に、先述した心的防衛規制を発動させて折り合いを付けようとする訳です。
 ここまで本節を読み進めてきて『あ、多分これよく使ってる…』と思った人がいるかもしれません。無意識に発動されるものや意識的に使うものなど、思い返して自身の癖や傾向みたいなものを知れると良いでしょう。

 ところで、前節でも述べたように、被虐待(愛着障害)児は、虐待者からの攻撃が予想される場面では抑圧を強く働かせて“無我”となり、虐待者に育まれた“恐怖の椎間板+超自我”の精神的な呪縛により支配されますが、虐待者が遠ざかると支配が外れ自我を取り戻します。ただし、幼く稚拙で未成熟な(自己中心性の強い)自我のままで周囲と対峙しなければならないため、他者と関係を結ぼうとする際に適切に自我を守ることができません。結果、防衛機制を次から次に多重に発動させる心的防衛機制の暴走が始まりますが、その殆どが無意識に発動されるため本人にもどうしてそうしてしまうのか分かりません。嘘に嘘を重ね、言い訳に言い訳を重ねるうちに、最初の嘘、最初の言い訳が何だったのかすら分からなくなってしまうのです。

 一対一でもそうなのですから、複数と対峙する場面では処し方が分からなくなって混乱し、同年代の集団の中で浮きがちになります。何故なら支配するか支配されるかの対人スキルしか持っておらず、愛着で他者と繋がる術(すべ)を有していないからです。結果、虐待者に同一化(同一視)し、年下の集団もしくは自分より弱い者で構成される集団に身を置いて周りを支配することにより自身の受傷リスクを下げます。つまり、被虐待(愛着障害)児にとって“支配”は目的ではないということです。受傷を恐れるが余り、“支配”を“最大の防御”(手段)として獲得し、“支配する”ことによってのみ安心を産み出せると誤学習している訳です(そういう意味においては、愛着障害は一種の不安障害と言えるのかもしれません)。
 被虐待(愛着障害)児の心理治療は、この誤学習を正すこと。支配による対人関係パターンを愛着による対人関係パターンへと情緒を書き換えることにあります。では、どうやって書き換えていくのか。それについては次章に記します。

園長 山下 学 (臨床心理士) (相談支援専門員)
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